大阪地方裁判所 昭和45年(わ)3836号 判決 1971年12月10日
本店所在地
大阪市大正区泉尾梅之町二丁目一九番地
商号
富士興業株式会社
代表者住居
大阪市西区九条南四丁目一八番地の四
氏名
野村数一
本籍
大阪市西区九条南四丁目一八番地の四
住居
右同所
富士興業株式会社代表取締役
野村数一
明治四二年九月二日生
右被告人富士興業株式会社および被告人野村数一に対する法人税法違反被告事件について検察官佐々木信幸出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人富士興業株式会社を罰金五五〇万円に、被告人野村数一を懲役七月にそれぞれ処する。
この裁判確定の日から一年間被告人野村数一に対する懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
当裁判所の認定した罪となるべき事実は起訴状に記載された公訴事実と同一であるからここにこれを引用する。
(証拠)
一、港税務署長作成の証明書二通
一、立見清次、笠井光二郎、武田義一作成の確認書各一通
一、被告人会社商業登記簿謄本
一、立見保雄、岩本新七の収税官吏に対する回答各一通
一、株式会社淡路屋名義の富士興業(株)仕入明細書
一、谷野治男、川崎義男作成の確認書各一通
一、阪南工業株式会社の収税官吏に対する回答
一、収税官吏作成の調査書三通(いずれも昭和45、6、25付)
一、吉村文三作成の確認書
一、清水三郎作成の確認書二通、同人の収税官吏に対する質問てん末書五通
一、清水三郎作成の上申書一通、同人の検察官に対する供述調書三通
一、鍵谷庄一郎の収税官吏に対する質問てん末書、検察官に対する供述調書各一通
一、山本保、小森茂夫の検察官に対する供述調書
一、幾谷昌和、森純一作成の確認書各一通
一、中村保一の検察官に対する供述調書二通
一、加藤敏郎作成の確認書二通、田上憲治作成の確認書二通
一、収税官吏作成の支払手形等裏書調査書類
一、牛田真二、杉本文恵作成の確認書各一通
一、長谷川三春作成の供述書
一、稲葉良貞、北川安秋、有限会社小橋製作所、北野泰弘作成の収税官吏に対する回答各一通
一、川口金属株式会社の仕入帳の一部の写
一、鈴木商店作成の仕入額回答書
一、中田三郎作成の供述書
一、岡上金興株式会社の仕入先元帳写
一、菅原清次の収税官吏に対する回答書
一、正野栄雄作成のスクラツプ明細書
一、森次雄作成の収税官吏に対する回答書
一、小林裕和作成の確認書二通、池田晴治作成の確認書一通
一、町田公兄の収税官吏に対する質問てん末書、同人作成の回答書
一、押収にかかる第一二期仕入元帳一綴(昭和46年押第733号の1)、第一三期仕入元帳一綴(同号の2)、第一四期仕入元帳一綴(同号の3)、昭和四三年九月から同四四年三月までの仕入元帳一綴(同号の4)、昭和四一年六月から同四二年九月までの手形受払帳一冊(同号の5)、昭和四二年一〇月以後の手形受払帳一冊(同号の6)、昭和四二年一〇月から同四三年九月までの金銭出納帳、仮払帳一綴(同号の7)、在庫帳五綴(同号の8)、入荷帳一綴(同号の9)、昭和四二年一〇月から同四三年九月まで仕入日計表一綴(同号の10)昭和四一年一〇月から同四二年九月まで仕入日計表一綴(同号の11)、商品受払帳一綴(同号12)、棚卸記録八綴(同号の13)、仕入先元帳一綴(同号の14)、請求書四綴(同号の15)、納品書一綴(同号の16)、第一三期売上帳一綴(同号の17)、第一三期売上日記帳二綴(同号の18)、第一三期入荷検収書二綴(同号の19)、第一三期請求書一一綴(同号の20)、第一三期売上入荷伝票三〇綴(同号の21)、第一四期請求書一綴(同号の22)、第一四期外経別在庫表一綴(同号の23)、売上日計表一綴(同号の24)、売上入荷伝票一〇綴(同号の25)、同九綴(同号の26)、請求書一二綴(同号の27)、在庫明細書一綴(同号の28)、在庫メモ帳一綴(同号の29)、入出荷メモ一綴(同号の30)、入荷伝票一綴(同号の31)、受註票控五綴(同号の32)、原材料受払帳二綴(同号の33)、加工賃綴一綴(同号の34)、元帳(同号の35)、加工註文書等一綴(同号の36)、物品出納帳一綴(同号の37)、雑書綴一綴(同号の38)、加工賃綴一綴(同号の39)、預金利息計算書一綴(同号の40)、手形受払帳一冊(同号の41)、取引メモ一綴(同号の42)、統計資料一綴(同号の43)、納品書一綴(同号の44)、振替伝票及び領収証四枚(同号の45)、領収書控一〇枚、計算証明書三七枚(同号の46)
一、被告人野村数一作成の確認書一通、上申書二通、同被告人の収税官吏に対する質問てん末書五通、検察官に対する供述調書三通
一、被告人野村の当公判廷における供述
(法令の適用)
起訴状公訴事実第一、第二に記載された所為につき
被告人富士興業株式会社につき
法人税法一五九条一項、一六四条一項
被告人野村について
法人税法一五九条一項(それぞれ懲役刑選択)
被告人富士興業株式会社に対する罰金額の合算
刑法四五条前段、四八条二項
被告人野村に対する懲役の併合罰加重
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い起訴状公訴事実第一の罰の刑の加重)
被告人野村に対する懲役刑の執行猶予につき
刑法二五条一項
(裁判官 石川哲男)
昭和四五年一一月二六日
公訴事実
被告人富士興業株式会社は、大阪市大正区泉尾梅之町二丁目一九番地に本店を置き、鋼管販売業を営むもの、被告人野村数一は、右富士興業株式会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人野村数一は、被告人富士興業株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一、被告人富士興業株式会社の昭和四一年一〇月一日から昭和四二年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が九四、二四六、三二一円、これに対する法人税額が三二、五〇六、八〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上たな卸商品の一部を除外し、架空仕入を計上しかつ売上の一部を除外する等の不正な方法により、右所得金額中五二、〇一〇、六三三円を秘匿したうえ、昭和四二年一一月三〇日大阪市港区港税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が四二、二三五、六八八円、これに対する法人税額が一四、三〇五、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税一八、二〇一、五〇〇円を免れ、
第二、被告人富士興業株式会社の昭和四二年一〇月一日から昭和四三年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が六七、五三〇、二七二円、これに対する法人税額が二三、〇九三、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正な方法により、右所得金額中四四、八八五、九九四円を秘匿したうえ、昭和四三年一一月三〇日前記港税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が二二、六四四、二七八円、これに対する法人税額が七、三八八、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税一五、七〇四、八〇〇円を免れ
たものである。